あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
2016年12月の読書メーター読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1950ページ
ナイス数:126ナイス
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)の
感想近未来の徹底した管理社会を描いたディストピア小説。二重思考による人々の思考の統制、過去の改竄、繰り返される悲劇の歴史...。フィクションでありながら、それを全く感じさせないリアリティのある描写と徹底的に作り込まれた世界観に圧倒される。何も知らずに支配されたまま生きることははたして幸せなのかと思うけど、その体制に不満を抱いて反逆しようとした主人公の結末を見ると、何が正しいのか判らなくなってくる。解説と附録「ニュースピークの諸原理」を読んで微かな希望が持てたのが唯一の救い。
読了日:12月30日 著者:
ジョージ・オーウェル
メイドインアビス 5 (バンブーコミックス)の
感想前巻から続いたボンドルド卿との戦いに決着。プルシュカ関連の話は容赦のない展開の連続だったけど、最後にほんの僅か希望の残る形になっていて良かった。次巻から本格的にアビスの真実に迫っていくのかな、楽しみ。そしてまさかのアニメ化おめでとうございます。
読了日:12月28日 著者:
つくしあきひと
進撃の巨人(21) (講談社コミックス)の
感想謎解きパートに入り、一気に話が動き出した印象。グリシャの手記という形で語られる世界の真実。そこには正義も悪もなく、ただ人の意志があるだけ。話がだんだん複雑化してきて、何が本当の敵なのかいよいよ分からなくなってきた。この残酷な真実を受けてエレンは、壁の中の人類はどうするのだろう。今後の展開がますます楽しみ。
読了日:12月28日 著者:
諫山創
さよならがまだ喉につかえていた サクラダリセット4 (角川文庫)の
感想長編の間を埋める補完的な短編集。いつものサクラダらしい静謐な雰囲気のある話から、ちょっとコミカルな話まで様々なテイストの話があって面白かった。個人的には春埼視点の話がほんわかできて良かったかな。最近出番のなかった野ノ尾さんも再登場してくれて嬉しかった。本編とは直接関係のない短編『ホワイトパズル』も温かみのある話で良かった。
読了日:12月28日 著者:
河野裕
箱男 (新潮文庫)の
感想見る者と見られる者の不可思議な関係性を前衛的な手法を用いて描いた作品。一方的に見るのはいいけど見られるのは嫌というのは誰しもが内に潜めている心理だと思う。そこに着目し、読む人によって多種多様の解釈が生まれる作品を書き上げた著者の力量には脱帽する。場面転換と視点の切り替えが目まぐるしく、誰が語り手だったのかすら把握するのが困難な内容だったが、それでも面白い一冊だった。
読了日:12月27日 著者:
安部公房
いまさら翼といわれてもの
感想待望の古典部シリーズ最新刊。メンバー4人の過去が明らかになり、そして未来が示唆される短編6作。どの話も十分に読み応えがあったけど、中でも表題作である「いまさら翼といわれても」が素晴らしかった。思春期特有の不安定な感情が繊細に描かれていて、えるの背景を思うと動機にも納得できた。人は飛べずに立ち止まる事を知っていつか大人になるもの。この話はまさにえるにとって人生の分岐点であり、大人になるまでの通過点でもあるんだろうなぁ。彼女がどんな答えを出すのか怖いけど楽しみです。
読了日:12月21日 著者:
米澤穂信
機械仕掛けの選択 サクラダリセット3 (角川文庫)の
感想シリーズ第三弾。ケイと春崎の出会い、そして相麻菫が亡くなった二年前の出来事が描かれる。文章は今まで以上に繊細な言葉で溢れていて、物語も個々の登場人物の背景が見えてきたことでより重みが増した気がする。どこか特別な印象があった相麻も、ケイとなんら変わらない能力に縛られたひとりの少女だったのだとわかって安心した。ラストで大方の役者が出揃い、いよいよ本格的に話が動き出しそうな雰囲気。次巻も楽しみです。
読了日:12月21日 著者:
河野裕読書メーター
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