暗殺教室 第17巻の感想ですネタバレを含みますので、未読の方はお気を付けください。
暗殺教室 17(ジャンプコミックス)(2015/12/17)
松井 優征
■『分裂の時間』前回の過去編を経て、殺せんせーを殺すか殺さないかで意見が真っ二つに割れたE組。
このタイミングで内部分裂が起こるのは自然な流れなのだが、個人的には、これまで滅多に怒りの感情を見せなかったカルマが周囲の目も忘れて渚に突っ掛かっていたのが意外だった。

この二人の関係には某小説のテーマにもなった
「能力のある人間の無自覚は、能力のない人間には辛辣だ」という言葉がそのまま当てまるのかなと思った。(渚の場合は「無自覚」というよりは「自覚があるのにあえて謙遜している」感じだが)
恐らくカルマには、
自分にはない特異な才能を持っている渚が、その才能を放棄して、暗殺をやめようとしているのが酷く傲慢に見えたんだろうね。彼は殺す派の立場にいる人間なのだから尚更だ。暗殺の才能を強く羨望しているからこそ、それを手放そうとしている渚が余計に許せない。「能力のある者にはそれを行使する義務がある」なんて言葉もあるけれど、まさにそれと同じものがカルマの思考の根底にはあるのだろう。
こういう
思春期特有の鬱屈や苛立ちを素材として上手く引き出し、絡めることで、話に厚みを持たせているのは流石だなと感じる。両者とも形は違えども、「殺せんせーを救いたい」という意志が一貫しているのも面白い。
■『殺し屋達の時間』殺せんせーからの提案で、サバイバルゲームをやって勝利したチームの意見をクラス全員の総意とすることに。
このサバゲー対決では、普段暗殺面では目立たない人物にもしっかり見せ場が与えられていたのが良かった。中でもE組屈指のゲーマーと称される神崎さんは別格の活躍だった。

この神崎さんに狩られたいと思ったのは自分だけではないと信じたい単騎で遠距離スナイプの鬼、千葉君を含む男子三人を落とすという快挙を成し遂げる。初期からあったキャラ設定をこういうおいしい形で活かしてくれるのは嬉しい。
そんな神崎さんを仕留めたのがカルマというのも
名簿の時間を読んだ人にとってはまたおいしい展開だったのではないだろうか。
そして、敵味方共に入り交じっての大混戦、先の読めないトリッキーな試合展開が繰り広げられるものの、最後は渚とカルマの一騎打ちで締めるといういかにも少年漫画らしい王道展開。

出会った時からお互いに、自分にない才能を相手が持っていることに気づき、それが不安材料となって次第に疎遠な関係になっていった二人。
しかし、今そんな相手と初めて「暗殺」という同じ舞台に上がっている。本音をさらけ出したからこそ、しがらみなど関係なく、対等な立場で全力で戦うことができる。
その喜びが闘争心剥き出しの表情となって色濃く出ていたのが純粋な子供みたいで面白かったw
結果的にはカルマを降参せざるをえない状況に追い込んだ渚の勝利で終わる。
決着を受けて、二人は和解、お互いの名前を呼び捨てにする仲に。本音をさらけ出して全力で戦ったからこそ理解し合えたというわけか。
過程はトリッキーでも最後はしっかり王道で締めるスタイルは好感が持てる。E組の当面の目標も定まり、話全体としてもスッキリしたような印象だった。
■『自由研究の時間』まさかの宇宙編。
いともあっさりと宇宙センターのロケットを乗っ取れたのはやや拍子抜け。というか律の性能がおかしいw
でも最後の
「この日僕らは初めて殺せんせーのスピードを上回った」というセリフはこれまでの積み重ねとE組の成長が感じられて良かった。
次回は早速宇宙ステーションをハイジャックする展開になるのだろうか。こうもあっさり事が進むと後々にE組を叩き落とす展開が待ってそうで怖いね。というか松井先生なら間違いなく落としてくると思うw
この作戦に直接関与してないとはいえ、烏丸先生の立場は大丈夫なんだろうか...おまけ

猫耳衣装の渚くんもいいね...

サバゲー編は間違いなく神崎さんが一番輝いてた

ああ、裸だったのってそういう...
感想は以上です。それでは。
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