ワールドトリガー 第13巻の感想ですネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
ワールドトリガー 13(ジャンプコミックス)表紙は二宮さん。黒スーツに映える赤のタイトルロゴが格好いい。
今巻はB級上位決勝戦が主な内容。
これまでのランク戦とは違って四つ巴の戦いとなったわけだが、各々の部隊のキャラに余すところなく見せ場が与えられており、この作品の醍醐味でもある
「集団戦」がより複雑に、そして戦略的に描かれていて非常に見応えがあった。
善戦はしたものの、最終的には玉狛は最下位という結果に。
今回の戦いは容易に埋めることのできないチームとしての地力の差、つまりは
経験の差がそのまま結果に現れてしまった感じだなぁ。試合後の木虎の
「努力なんて一週間やそこらで実を結ぶものじゃない」という言葉が残酷に重く突き刺さる。
今後の課題としてはやはり遊真頼みの現状の打破と修とチカの成長だろうか。
ただ、皆努力しているのは当たり前で、だからこそ独自の強みを出していく事が必要になってくると。突きつけられた現実を前に、修がどう動くのかが大きなポイントになりそう。
そしてラストではその修が意外な決断を。迅さんに玉狛第二に入るよう頼むという先の展開が読めない引きになっている。
では以下、個人的に気になったキャラをピックアップして書いていきます。
■修お前に主人公補正はないんだぞと言わんばかりに初っ端退場させられた主人公。
いや、順当といえば順当な結果なんだろうけれど、流石に主人公が何の活躍も出来ずに落とされるとは思っていなかったので正直驚いた。それに対して実力者の皆さんがまあ当然だろみたいな表情をしていたのがなんとも悲しい。
でもやっぱり東隊、二宮隊と交戦している時に退かなかったのが分岐点だったのかな。狙撃者が近くにいるのは分かっていたのだから、あそこは欲張らずに点よりも部隊の合流を優先するべきだった。
結果論だろと言われてしまえばそれまでなんだけど、実際の戦争ではそういう一瞬の判断ミスが勝敗を大きく左右することになると思うし、そういった部分に実力者との差が出てくるのかなと。
ただ、作中でも言及されているようにマスタークラスの犬飼とのマッチアップは悪くなかったし、風間さんも良い具合にフラグを立ててくれたのでこれからの巻き返しに期待したい。
■遊真孤立無援ながらも持ち前の機動力を駆使して善戦。ただ、ここでいつもに増して遊真が善戦したことで、より玉狛第二の遊真頼みの現状が浮き彫りになってしまった感じ。
取り敢えず当面の課題はなし?
■千佳「人が撃てない」弱点が見事に他の部隊に筒抜けだったものの、今回のランク戦ではその弱点を自ら克服しようとする姿勢が見られた。
千佳が人を落とせるようになれば戦略の幅がぐっと広がると思うので頑張って欲しい。
あと、遊真のグラスホッパーを使った時の太ももが質感があって良い。
■二宮匡貴まさかのスーツ隊服にて参戦。その他にも両手ポケイン状態での分割アステロイドやスタイリッシュメテオラ回避などビジュアル面での気合いの入れようが伺える。ただ、襟立てバックワームは明らかにダサい。
しかし、シューターNo.1&個人総合2位の実績を持っているだけあって、実力は高く、鬼のような形相で他の隊員を次々となぎ倒していく様が見られた。

このトリオンキューブの大きさとイーグレットを易々と防ぐシールドの硬度の高さからして純粋なトリオン量は千佳に次ぐレベルなんだろうか。フルアタックハウンドの火力も相当なものだったからまあそうなんだろう。
同じ射手である出水との明確な違いは、あくまでも出水は味方をサポートする陽動役であるのに対して、二宮さんは単独で積極的にポイントを取りに行けるエースであるという点かな。攻守共に隙のないこの人物を打ち崩すのは容易ではなさそうだ。
カバー裏では、過去に忍田部長の計略で加古さん、三輪と共に東隊に放りこまれ、「戦術ってスゲェ...!」と薫陶を受けまくったチョロい男であることが判明。二宮さんがやたら東隊を警戒していたのは東さんが彼にとっての戦術の師匠だったからか。ちなみに隊服をスーツにしたのはコスプレ感を嫌ってのものだったらしい。なんか笑えるw
作者曰く「天然感がある人」。
■東春秋「かつてのA級一位部隊を率いた最初の狙撃手」という肩書きを引っさげてランク戦の地に君臨した元祖変態スナイパー。
その肩書きに恥じない実力と見識を兼ね備えており、難易度の高い壁抜き狙撃を軽々決めたり、ゾエさんの放った適当炸裂弾を空中で全弾迎撃したりとやりたい放題。その狙撃の腕前に加え、指揮能力の高さも含めれば総合的な狙撃者としての実力は実質No.1なのではないか。それでも彼が現状B級の地位に甘んじているのは指導者としてやっていくと決断したからなんだろうか。
初登場時にかませ役だと思ってしまってすみませんでした■景浦雅人「感情受信体質」のサイドエフェクトにより狙撃と不意打ちが通用しないエースアタッカー。
狙撃を作戦の中心に据えている部隊にとってはこれ以上にない強敵になりそうだ。
風貌は完全に悪役そのものだが、本質的には裏表のないサバサバした性格で、村上曰く雰囲気の似ている遊真とは仲良くなれるらしい。実際に今回のランク戦では遊真に最も強い興味を示していた。
なんか次巻あたりで普通に遊真と練習試合とかしてそう。
■北添尋通称ゾエさん。適当にメテオラをぶっ放しているだけでキャラ立ちに成功してしまった罪深いキャラ。
そのビジュアルも相まって今後のネタキャラ化が懸念されるが、この人の場合は逆においしいかもしれない。
カバー裏では、なんとサイドエフェクトを除いた生身の戦闘力ではレイジさんと並ぶ2トップであり、景浦とは8度にわたるタイマン勝負の末にお互いを認め合った仲であることが判明。伊達にB級上位者ではないということか。
■風間蒼也B級上位戦の解説役を担当。
初っ端で退場した修に対してフォローを入れてくれたり、試合後に的確な批評をしてくれたりと随所で修への期待の高さが見られた。正直、風間さんに「失望した」とか言われたら修だけでなく読者の心も折れかねなかったので、比較的優しいコメントをしてくれて安心した。
■加古望風間さんと共にB級上位戦の解説役を務める。取り敢えず風間さんに渡したバレンタインチョコが義理なのか本命なのがが気になるところだが、彼女の満面の笑みからは全く判断がつかない。
防衛戦では描写されなかったこの人の戦闘シーンも早く見てみたい。
■唯我尊A級一位の太刀川隊のガンナー...なのだが、まさかのコネ入隊であることが判明。ボーダー世界の闇が垣間見えた感じだが、別段部隊の面子とは仲が悪いというわけではないっぽい。
やたら烏丸を毛嫌いしていた様子だったが、もしかして元は烏丸が太刀川隊の一員で、金と権力の暴力で彼を玉狛に追いやって入隊したみたいな裏があったりするんだろうか。そうだとすると防衛戦の時に出水と烏丸が親交がありそうな会話をしていたのも頷ける。
■迅悠一修たちがB級上位戦を繰り広げている裏でヒュースと賭けを行う。
二宮隊を差し置いて副題になっているあたり、この賭けはこの先の展開で重要な意味を持ってくるのだろうか。
そしてラストでは修から玉狛第二に入ってくれないかとの提案を受ける。規定的には問題ないんだろうが、話的にはつまらなくなりそうなので断って欲しいところ。修にどのような言葉を掛けるのかにも注目したい。
感想は以上です。それでは。
関連記事リスト:
ワールドトリガー 14巻 感想ワールドトリガー オフィシャルデータブック「BBF」感想